IoT用のSIMの動作確認を行う際の注意点

先ず結論からお伝えすると、IoT用のSIMの動作確認は、スマートフォンやタブレットなどの汎用デバイスで行うべきではありません。
この記事は自社の商品・サービスにモバイル通信機能の追加を検討されている方に向けて、IoT用のSIMの動作確認をする場合に注意すべき点は何か。なぜ重要なのか、具体的にどう確認すればよいのかをお伝えします。
IoT用のSIMとは
IoTデバイスに搭載されるSIMの多くは、大量のデータ通信を前提としたスマートフォン用のSIMとは異なり、1ヶ月あたり数十MBから数百MB程度の極めて小さな通信容量で契約されています。これは、IoTデバイスがセンシングデータなどの微量なデータを定期的に送信するという利用用途に特化し、コストを最小限に抑えるための仕様です。
汎用デバイスでの確認を行ってはいけない理由
では、なぜスマートフォンでの動作確認が危険なのでしょうか。その最大の理由は、スマートフォンはユーザーの意図しないバックグラウンド通信が絶えず行われているためです。
- OSやアプリの自動更新チェック
- SNSやメールの通知ポーリング
- 位置情報の定期的な送信
⠀これらの通信に加えて、誤ってWebサイトを一度でも閲覧してしまったり、動画広告を読み込んでしまったりすると、IoT用SIMに設定された極小の容量は、瞬く間に消費されてしまいます。わずか数分の操作で、本来1ヶ月間持たせるべき容量を使い切ってしまう可能性が高いのです。
汎用デバイスで確認を行った場合
もしIoT用のSIMの容量上限に達してしまった場合、以下のような問題が発生します。
- 通信停止・速度制限: SIMの契約内容に基づき、通信が完全に停止するか、極端な低速(例:128kbps)に制限されます。
- 高額な追加課金: 従量課金プランの場合、想定外の通信量に対して高額な追加料金が発生する可能性があります。
- 動作検証の不能: 最も重要な問題は、本来の目的であるIoTデバイスでの動作検証が不可能になることです。通信が停止したSIMでは、実際にデバイスに搭載した際の挙動やデータ送信の成功可否を検証できず、検証スケジュールが頓挫してしまいます。
データ通信量を厳密に制御できる専用環境で確認すべきです
IoT用SIMの動作確認を行う際には、以下の方法で通信量を最小限に、かつ計測可能に制御できる環境を構築してください。
1 専用のゲートウェイの利用:
実際に本番で使用するIoT専用のゲートウェイを利用するのが確実です。
2 IoTダッシュボードの活用:
SIMベンダーやゲートウェイベンダーが提供しているIoTダッシュボードで通信容量が確認できる場合はそれを利用するのも良いでしょう。
IoT導入を成功させるには「SIMの扱い方」の習熟が不可欠です
IoTプロジェクトにおいて、SIMの選定と動作確認は、プロジェクトの成否を握る重要な初期ステップです。特に従量課金や極小容量のSIMを利用する場合、「スマートフォンでの安易な確認は容量浪費に繋がる」という原則を徹底する必要があります。この初期段階でのミスを防ぐことが、安定したIoTプラットフォーム運用の第一歩となります。
貴社のIoTプラットフォーム導入は、経験豊富な当社へご相談ください
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